1.退職慰労金とは?
取締役が退職するときに、退職慰労金が支給されます。これは、役員の「退職金」ですが、従業員の「退職金」との違いがあります。
退職慰労金は、商法にもとづいて定款に定めるか、株主総会の決議によってしか支給されません!従業員の退職金は規定によって支給されます。ここが退職慰労金と退職金の大きな違いです。
ところで、日本の会社は、取締役になるのは従業員から昇進する例がほとんどです。そして、従業員の身分を残したままで取締役に就任する場合も多いです。この取締役のことを使用人兼務役員といいます。そして、この使用人兼務役員の退職金について以前から様々な問題がおきております。
2.使用人兼務役員の退職金問題!
使用人兼務役員の退職金の問題は、使用人兼務役員に退職金が支給されたときです。この場合、従業員の身分に支払われるのでしょうか?役員の身分に払われるのでしょうか?
この関係がどうなっているかがポイントです。使用人兼務役員の場合は「役員に支払われる退職慰労金は、商法の適用」「労働者に支払われる退職金は労働基準法の適用」ということになります。
使用人兼務役員に対する退職慰労金が商法を受けるか?それとも退職金として労働基準法上の賃金とみなされるのか?これは、職務の実態に基づき考えられます。
3.実態にあわせての支払い?
もし、取締役の退職慰労金としてみなされたらどうなるのでしょうか?商法により、定款の定めか株主総会の決議によってしか支給することができません。勝手に支給することは許されないのです。
しかし、取締役であっても、その従事する仕事の実態が他の社員と同じであれば、退職慰労金とされても、労働基準法上の退職金と考えられます。そうすると、退職金規程に基づいて支給がされます。
取締役という名前がついていても、実際の就労がどうなっているかが優先ですね!
4.判例を見てみましょう!
では、裁判ではどのようになっているのでしょうか?実際の判例を見てみましょう。
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名古屋鉄道株主総会決議無効確認請求事件 |
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(最高裁第二小法廷 昭和39年12月) |
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「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法(旧)280条、同269条にいう報酬に含まれるとされます。これにつき定款にその額の定めが無い限り株主総会の決議で定めなければなりません。無条件に取締役会の決定に一任することは許されません。」 |
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千切屋織物事件 |
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(京都地裁 昭和50年1月) |
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「使用人を兼ねていた取締役に退職慰労金を支給する場合、使用人としての退職金の部分が退職金規程等に明確に区別できるときを除いて、退職慰労金は定款等で定めるか、株主総会で決定しなければなりません。」 |
5.まとめ
以上のことから、従業員兼務役員の場合は、明確な区別が必要であるということです。従業員という身分、役員というそれぞれの身分によってもらうものが異なるので、きちんと区別しましょう!ということです。あやふやな部分があってはいけません。
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