1.厚生年金基金とは?
厚生年金基金とは、一定の要件を満たして厚生労働大臣の認可を受けた特別法人です。そして、企業年金の運用、給付を行います。さらに、厚生年金保険が行う老齢給付の一部を国に代わって運用し、支給します。つまり、国が払う年金部分の一部の運用を行い、給付を代行して基金が払います。また、プラスαの企業年金部分も運用し、支給するという仕組みとなっています。
2.厚生年金基金のしくみは?
厚生年金基金の仕組みは、厚生年金保険法に定められています。
基金の設立は、大企業であれば単独で可能です。しかし、複数の中小企業が集まって共同で設立することも可能です。
基金の組織は、会社の経営陣とその従業員とで作られています。運営機関として、代議員会、理事、監事などが置かれます。
そして、従業員から、掛金を徴収して年金給付の積立を行います。
3.なぜ代行返上がおこるのか?
国に代わって掛金の運用を行っている部分が「代行部分」といいます。この部分の運用を国に「お返し」しようというのが「代行返上」です。
なぜ企業が代行返上を行うのでしょうか?それは、最近の金融情勢と密接な関わりがあります。基金として運用が大きくなるとその分リスクも大きくなります。そして、現在の金融情勢は過去に類を見ないほどの低金利です。よって、思うように運用収益が上がらず、その補填が企業の責任となっているので、そのリスクを回避したいのです。
現在の多くの基金では、運用収益を5.5%の利回りで見込んでいます。しかし、今の金融環境ではそれだけの運用収益はのぞめません。
つまり、基金の運用悪化がそのまま会社の経営に大きく響いてしまうことになるのです。
このような状況で、年金の代行部分を国に返して運用額を減らし、「リスクを減らそう」というのが代行返上の考え方です。
4.まとめ
厚生年金基金は、国の年金事業を一部代行する機能と独自に積み立ててプラスαの支給を行う機能があります。この代行部分を国に返して運用リスクの軽減をはかるのが、代行返上の大きな目的です。運用収益の悪化を放置すれば、その補填を事業利益から捻出することになります。すると、会社経営が「大きく傾く!」なんて事態になりかねません。あなたの会社ではいかがですか?
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