1.適年問題はあと7年10ヶ月ぐらいあるから!
適格退職年金の移行に伴う経過措置の期間は、平成14年4月より平成24年3月となっております。10年間の期間がありましたが、現時点(平成16年5月)で残り8年を切っております。
この残りの期間の考え方によって、この適格退職年金問題の解決のシナリオは大きく変わってきます。「まだ7年10ヶ月もある。」という考え方であれば、周りの様子を伺っているうちに退職金制度改革のタイミングを逃すかもしれません。また、「7年10ヶ月しかない。」と考えていれば、今現在「何をすべきか!」を検討し、問題解決のための方向性を見出せるでしょう。この考えの違いは大きな分かれ道でもあり、死活問題でもあります。
2.適格退職年金問題の解決は誰が行うかわからない?
ここでよく考えなければいけないことは、適格退職年金は退職金制度の運用の一部で外部積立の制度だということです。そう、あくまでも退職金制度の運用方法の一部でしかないということです。そして、退職金制度の問題は人事の問題ですが、積立不足の件や退職金額の高騰等、人事の問題の範疇を大きく超えて、知らない間に経営問題となっていることが多く見受けられます。この問題解決を行うのは「社長!あなたなのです。」退職金の問題は、大きな経営問題なのです!
3.適格退職年金の分析の流れ
現在の自社の適格退職年金がどうなっているか検証しましょう。
- 社内状況の分析(前提条件)
社員の年齢構成、勤続年数の状況、などの基礎データを分析します。また、会社の組織の特徴、会社そのものの文化や風土、経営の考え方を明文化することがポイントとなってきます。
- 退職金制度(退職金規程、退職年金規程)の分析
退職金規程は、退職金額の決定方法、退職金の水準、退職金カーブを明確にします。
- 資金準備状況の分析(適格退職年金の決算書を読み込む)
「財政決算報告書」の分析、診断を行い、「積立不足額」や「運用パフォーマンス」の点を特に検証する必要があります。適格退職年金の残高推移も検証しましょう。
- 適格退職年金の解約の時期(将来の予想)
「適格退職年金をいつまで継続すべきか?」を検証しましょう。適格退職年金の適切な解約のタイミングは次の3つのポイントで検証しましょう。
(1)継続コスト
(2)解散コスト
(3)移行後のキャッシュフロー
この点を柱にし、又、将来の予想も踏まえて解約の時期を検証します。また、新制度の検討もこの時期にまとめましょう。
導入している企業では所得税の増加分は会社負担としているところもみられます。
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