1.確定拠出年金が法制化された背景
確定拠出年金法は、2001年6月に成立しました。米国の企業年金法制度401Kをモデルにつくられた制度なので、「日本版401K」と呼ばれています。
なぜ、法制化されたのかといいますと、この制度は従来の企業年金が抱える問題を克服することを目的として導入されました。
その問題の克服とは、少子高齢化による現役世代の給付の増加を抑えるために、掛け金の拠出額を決めて、受給額は本人の運用成績任せにしようということです。又、給付額が決まっている状況では、年金資産の運用利回りの悪化により、財政危機が発生する可能性が高くなりますが、掛け金の拠出額のみであればこのような事態にはなりません。さらに、退職給付会計の導入に伴い、退職給付債務の認識が強化されましたが、このリスクも負いません。そして雇用流動化への対応の必要性等がありますが、この制度は、従業員が転職した際に、自分の年金資産を持って行けることが認められております。
このように企業にとってメリットが大きく、今日の時代に合った制度といえます。
2.確定拠出年金の問題点とデメリット
確定拠出年金制度は、企業にとってメリットが強調されていますが、問題点も少なくありません。
従来の退職金制度(基本給×勤続年数×功績倍率)は、勤続年数が長いほど退職時に支給される金額が多くなるしくみになっていたので、従業員が他の会社へ流出しないように引き止める効果がありました。しかし、確定拠出年金制度は、年金資産を転職先に持っていくことができるため、人材定着の効果が期待できません。また、年金資産の管理コストや運営コスト(投資教育費)もバカになりません。導入にあたっては、従業員の投資教育の実施は会社の義務となります。
一方、従業員にとっても、自分自身の投資運用により受給額が決まりますから、いざもらう時まで受給額が確定しないことになります。更に、常に情報を収集して投資知識をもっていないと運用に失敗してしまう可能性が大きくなります。又、原則として、年金資産を中途で引き出すことができません。以上のことから、退職金の原資としての性格にマッチするか疑問です。
3.適年から確定拠出年金への移行!
適格退職年金から確定拠出年金に移行する時に、積立不足がある場合は、その解消が求められます。支払能力に余裕のある企業であれば一括で解消も可能ですが、余裕のない企業であれば給付水準の引き下げは必須と思われます。ただ、給付水準の引き下げは退職金の引き下げとなりますので労働条件の不利益変更に該当します。よって、従業員の個別同意が必要になります。移行の成否のポイントは、労働者、使用者の合意です。徹底的に話し合いを持つ必要があります。
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