1.他の企業年金制度への移行
2002年4月から確定給付企業年金法が施行されました。これにより適格退職年金は、2012年3月までに、厚生年金基金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、中小企業退職金共済等の他の制度に移行しなければなりません。
それでは、これらの制度の概要がどのようになっているか見てみましょう。

2.厚生年金基金とは?
厚生年金基金は、厚生年金保険法に基づいて設立された特別法人によって運用され、厚生年金の保険給付のうち、老齢に関する給付の一部と、これを上回る基金独自の上乗せ部分とを合わせた年金給付を行う企業年金のことです。
最近の厚生年金基金を取り巻く環境は、株価の低迷、低金利の長期化等により財政に大きな影響を受けています。そして、積立不足により解散に追い込まれる基金が増加しています。
このような逆風下の環境の下であえて適格退職年金を解約して厚生年金基金に移行するとは考えにくい状況です。
3.確定給付企業年金とは?
今までの厚生年金基金や適格退職年金では、金融環境の変化による運用利率の低下などで新たな債務を生む可能性が大きく、積立不足が発生するというリスクがありました。
こうしたことから、確定給付企業年金では受給権保護の確立が強化され、又、積立債務、受諾者責任、情報開示が明文化されました。これにより、厚生労働大臣に対し毎年財政状況の報告が義務付けられ、積立不足の発生等が発生すると掛け金が引き上げられることになります。又、加入者に対して資産の運用状況、規約の内容そして掛け金の納付状況等を周知することが義務付けられ、非常に厳しい制度となっております。
4.確定拠出年金への移行!
確定拠出年金への移行は、給付が確定している適格退職年金から、給付が不確定な企業年金への転換ということになるので、移行にあたっては、制度改定が必要になります。また、適格退職年金からの移行の額に、個人別上限が設けられており、上限を超える積立金がある場合には、移行時に本人に分配されます。この場合の分配金は一時所得として扱われます。
次号(Vol.4)ではこの確定拠出年金制度を中心に話を進めていきます。
|